家賃滞納の入居者さんがいて、催促しても払わないとか、長期の滞納だと鍵を使えないようにしたりしていませんか?
していなくても、大家さんの心理としてはそうしたくなりますよね!
でもそれは違法なんです。
自力救済とは
法律を勉強した方は自力救済ってご存知かもしれませんね。
自力救済とは,権利が侵害される場合に、司法手続きによらず直接自らの力で権利を確保すること。
賃貸業における自力救済の例
家賃滞納時に
◯部屋の鍵をロックしたり、交換したり
◯残置物の処分
◯脅して、退去させたり
◯ドアに張り紙
敷地内に無断駐車された際
◯タイヤをロックして金銭などを受け取るまで足止めする行為
家賃払ってないんだから何してもいいよねって気持ちはわかりますが、大家さん自身が法を犯す事にもなりかねません。
入居者から訴えられて、賃貸人が勝訴したケースはほぼありません。
判例
アパートの家主が賃料不払いを理由に玄関の鍵を交換したことを自力救済として違法性が認められた例東京地裁平成16年6月2日判決。
アパートの家主は、店子とその部下が家賃を払わないことを理由に賃貸借契約を解除した。この解除は有効と認めた。しかし、大家が当該アパートの鍵を交換したことについては、店子が知る由のないまま行われたことであり、裁判所はこれを占有権の侵害および違法な自力救済にあたると認めた。一方、損害賠償請求については、店子側はアパート室内の書類などを持ち出す猶予も与えられず当該事業の遂行に支障が出たとして賠償を求めたが、裁判所は鍵交換時には既に業務が停止しており逸失利益は認められないとしてこれを棄却した。
自力救済の例外を認めた例横浜地裁昭和63年2月4日判決。
マンションの目の前に自動車が3ヶ月間停めっぱなしの状態にあり、ある住人が再三にわたり督促したものの名義人は意図的に車を移動させなかった。故意に置きっぱなしにしてあると判断し、しびれを切らした住人が車を処分したところ、その所有者が損害賠償請求の訴えをおこした。裁判所は「やむを得ない特別の事情」があるとして損害賠償請求を認めなかった。
まとめ
賃貸人が勝手に荷物を処分することは違法
鍵交換は住居侵入罪
賃借人を探して所有権放棄書を書いてもらう方法も
賃借人の居場所がわからない場合には、公示送達を利用して明け渡しの裁判を起こし、判決が出たら、強制執行によって荷物を処分する
滞納家賃は、連帯保証人や保証会社に支払ってもらう
賃借人が夜逃げをすると、手続きが面倒で大変な目にあいます。
家賃の滞納がある場合すぐに対処することで大ごとにならないようにしましょう。