第八条(特定承継人の責任)
前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
解説
区分所有法第8条では、第7条1項での「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権」が、弁済されないで、区分所有権が譲渡された場合には、その譲受人(特定承継人)に対しても、債権として請求できるとしています。
区分所有者相互の債権や、区分所有者に対する管理者(管理組合法人)の債権を、直接の債務者ではない特定承継人にまで弁済の義務を負わせてまでも保護しようとする区分所有法独自の規定です。
承継人には、包括承継人と特定承継人の2つがあります。
包括承継人
他人の権利義務を一括して承継することを包括承継(一般承継ともいいます。)といい、承継する者を包括承継人といいます。
相続により被相続人の権利義務を承継する相続人がその例になります。
特定承継人
他人の権利義務を個別的に取得することを特定承継といい、承継する者を特定承継人といいます。
売買、交換、贈与などによる普通の権利の承継は、すべて特定承継で、売買契約の譲受人(買主)などが特定承継人の典型な例になります。
また、抵当権の実行により競売物件を競落して所有権を取得した競落人(買受人)も、特定承継人に該当します。