景気変動が極端に行き過ぎると、企業の活動や雇用情勢など国民生活に大きな影響を与えることになります。景気が過熱しすぎると物価上昇などが起こり、景気が悪すぎると失業が増加して社会不安が起こります。景気変動の波が大きくならないように、好況期には景気抑制策が、不況期には景気刺激策などの景気対策が必要になります。
金融政策
日本銀行は、物価の安定と金融システムの安定を図るために金融政策を行います。従来は公定歩合操作、預金準備率操作、公開市場操作の3つを実施していましたが、現在は公開市場操作を中心に実施しています。
公開市場操作
日本銀行が短期金融市場で有価証券を売買することによって、市場の資金量を調整する政策です。日本銀行が債権などを売却して資金を吸収する操作を売りオペレーション(金融引締)、債権などを買入して資金を供給する操作を買いオペレーション(金融緩和)といいます。
売りオペレーション:債権などを売却して資金を吸収する操作(金融引締)
買いオペレーション:債権などを買入して資金を供給する操作(金融緩和)
預金準備率操作
日本銀行が預金準備率を上下させることで、銀行の貸出に影響を与える政策です。
預金準備率:銀行が日本銀行に預金の一定割合を預けておく割合
公定歩合操作
日本銀行が金融機関に資金を貸し付ける際の基準金利です。
かつてはこの金利を上下させることによって市場の金利をコントロールすることができましたが、現在では市場の金利はコール市場の需給バランスで決定されることになったため、公定歩合操作は実施されていません。
公定歩合は基準割引率および基準貸付利率に名称が変更され、補完貸付制度の適用金利となっています。
補完貸付制度:銀行が日本銀行から短期資金を調達する仕組み
財政政策
持続的な経済成長を達成するために国の裁量で行うものであり、公共投資、所得減税などがあります。
公共投資
財政資金を道路などの公共施設の建設に投入することによって経済的な波及効果を狙い、景気を回復させる政策です。
公共投資の財源として大量の国債を発行する場合、国債価格の下落による長期金利の上昇を招くこともあります。
所得減税
住宅減税を始めとする個人所得税の減税は、個人の可処分所得を増加させて消費の拡大を図り、景気を回復させる政策です。