固定資産税の評価額に不服(評価誤り)がある場合にはどのような手続きが必要になるか解説いたします。
固定資産の納税者で、固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合は、納税通知書の交付を受けた日の翌日から起算して3ケ月以内に、文書をもって固定資産評価審査委員会に審査の申出をする事ができます。
1,固定資産税の修正
毎年4月以降に市町村から送付される固定資産税の納税通知書の税額に高いなあ〜との不満があっても、疑問を持たずに納めていませんか?
総務省の調査によれば、納税者からの異議申立てによって全国で9割以上の自治体が固定資産税額の修正を行っています。
自治体の発表によれば、鉄筋鉄骨コンクリート、鉄骨造の複合建物全体を一体として鉄筋鉄骨コンクリートとして課税を行っていたことにより8億円の還付例があり、他にも都市計画税を用途指定地以外の土地に課税していたことにより3,000万円の還付、経年補正率が構造別に分類されていなかったことにより2億2,300万円の還付がありました。
2,なぜ、固定資産税が間違って課税されるのか?
行政が固定資産税課税ミス(評価誤り等)をおこす主な要因としては、
- 建物の構造・工法が複雑で認定評価が難しい
- 土地や建物の使用用途の変更を自治体が把握していない
- 土地や建物の評価後の特例があるにもかかわらず適用していない
などがかんがえられます。
3,建物の評価方法の例示
固定資産税における建物の評価は、建物の部分別に評価点数を計算する”再建築評価点計算書“が作成されます。
固定資産税評価基準は、建物を主体構造部からその他の工事まで14に分け、そのそれぞれに使われている部材の使用量に、各部材の持点を掛け合わせたものが建物の総合計評点数となります。この合計総点数に1.1円をかけた額が建物評価額になります。
建築資材ごとに、例えば鉄筋1トンにつき何点、コンクリート1㎥につき何点と点数が決められていますから、発表されている再建築費評価基準をみれば容易に計算できますので、自治体から計算明細書の開示を求め、建物の工事内容と照合してみれば、間違いがわかります。
4,固定資産の評価についての審査の申出
固定資産税の納税者で、固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合は、納税通知書の交付を受けた日の翌日から起算して3ケ月以内に、文書をもって固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができます。ただし、基準年度(3年に一度の評価替えが行われた年度)以外の何度は、審査申出の対象が次の項目に限られます。
- 家屋の新築や土地の分筆等により、新たに価格が固定資産課税台帳に登録された場合
- 家屋の増改築や土地の地目交換等によって価格が変わった場合
- 地価の下落により修正された土地の価格の修正に関する部分
5,事業者が所有する建物と償却資産の申告誤り
建物の空調工事や風呂洗面所等の付属設備は、建物の評価額を構成し固定資産税として課税されますが、それにもかかわらず、事業者が所有する建物の空調設備の改装等を行ったことにより、償却資産として申告している事例が数多くみられます。この場合は、二重の課税が発生していますので、当然に還付請求の対象になります。